3103人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇ温和。温和は私の髪が短くなったら、もう可愛いって思ってくれないの?」
そう言ったら、温和が否定せざるを得ないのを分かっていて、半ば確信犯的に聞くとか卑怯だよね。ごめんね、温和。
しかも私のその言葉に、和音が一緒になって「わー、パパ最低」と援護射撃をしてくれて。
これ、完全に私の勝利ね。
「ばっ、バカっ! 俺は別に髪型なんてどうでもっ!」
売り言葉に買い言葉。
温和が慌てた様子でそう言ったのを受けて、私はにっこり微笑んだ。
「じゃあ、切っても良いよね? 私、久しぶりに和音とお揃いのボブにしたいの♪」
温和、ごめんね。
実は髪が長いと、ベッドであなたが私の髪の毛を踏まないようにって、手をつくときに気を遣ってくれているのが申し訳ないと思ってしまうから、というのもあったりするの。
髪の毛のせいで行為に集中できないって言ったら、温和、どんな反応するかな?
それに。
たまにお兄ちゃんが当然のようにおさげを引っ張ってくるのも心外だったし!
心の中でそっと付け加えて、私はこの話はおしまい、とばかりに2人に背を向けてキッチンに立った。
さて、夕飯作りを再開しなくちゃ。
「和音、お手伝いしてくれる?」
最近色んなことに挑戦したくてたまらない和音は、一緒にキッチンに立ってくれることが増えたの。
私は娘とキッチンに立てるのが、実はすごく嬉しかったりします!
最初のコメントを投稿しよう!