■*ふたりならきっと平気/気まぐれ書き下ろし短編

4/8
前へ
/698ページ
次へ
「あっ」  突然ホックを外されたことに驚いた音芽が、前屈みになりそうになるのを胸に触れる手で「許さねぇよ?」という意志を込めて押し戻した。  ちょっと汗ばんだ音芽の乳房(ちぶさ)が、手のひらに吸い付くように馴染んでくるのが心地よい。  音芽が身じろぐたび、甘い香りが匂い立つように俺の鼻腔をくすぐって。  ――マジで堪んねぇな。  ツンと()ち上がった胸の頂をギュッとつまみながら、 「ここ、触ってねぇのに固くなってんじゃん? 音芽、もしかして期待してた?」  意地悪い問いをさらに重ねて音芽を追い詰める。 「はっ、温和(はるまさ)の、バカッ。大っ嫌いっ!」  とうとう堪え切れなくなったんだろう。  音芽が俺を涙目でキッと睨みつけてそう吐き捨ててきた。  ――わー、何これ。すげぇな。  音芽が涙目で睨んでくるのも、心にもない言葉で俺を必死に牽制(けんせい)してくるのも、言葉とは裏腹に身体が思いっきり反応して薄紅(うすくれない)に染まるのも、何もかもが俺を(たかぶ)らせる。 「俺はこんなにお前のこと、好きなのに?」  言って、もう一方の手をわざと背筋に沿わせるように滑らせると、そのまま太ももをやんわりと撫でさすってからスカート越し、音芽の1番敏感な(よわい)ところを少し強めに擦り上げた。 「ひゃ、ぁっ」  途端音芽がビクッと身体を跳ねさせて、下腹部に伸ばした俺の手をギュッと握ってきて。
/698ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3102人が本棚に入れています
本棚に追加