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寝室のベッドに音芽の身体を下ろして上に馬乗りになったと同時――。
室内が一瞬閃光に照らされて、即座に窓ガラスをビリビリと揺らすような轟音が轟いた。
光ってから音がするまでの期間がすごく短かったから、結構近くに落ちたな、とゾクリとする。
一瞬部屋の証明が落ちかけたが、消えずにいるところを見ると、停電は免れたらしい。
「やっ」
音芽が小さく悲鳴を上げて、俺にギュッとしがみついてきた。
小さな身体がふるふると震えていて可哀想になる。
束の間の静寂の後、ザーッ!と屋根を叩きつけるような強い雨音がしてきて、ゲリラ豪雨だと察した。
雨音に混じって、ゴロゴロという残響のような雷鳴も聞こえてくる。
視線を転じれば、窓の外は白く煙っていて、数メートル先の隣家のシルエットでさえもぼんやり霞んで見えるほどで。
実際俺もさっきの落雷のせいで、心臓バクバクでめちゃくちゃ驚いてんだけど、それ、音芽に悟られたらダメなやつだよな。
「温和っ、――和音……」
涙目で娘の心配をする音芽が愛しくて、俺はギュッと小さな身体を抱きしめる。
さっきまでヤル気満々だった俺の下腹部も、さすがにすっかり萎えてしまった。
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