■*ふたりならきっと平気/気まぐれ書き下ろし短編

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***  寝室のベッドに音芽(おとめ)の身体を下ろして上に馬乗りになったと同時――。  室内が一瞬閃光(せんこう)に照らされて、即座に窓ガラスをビリビリと揺らすような轟音(ごうおん)(とどろ)いた。  光ってから音がするまでの期間がすごく短かったから、結構近くに落ちたな、とゾクリとする。  一瞬部屋の証明が落ちかけたが、消えずにいるところを見ると、停電は(まぬが)れたらしい。 「やっ」  音芽(おとめ)が小さく悲鳴を上げて、俺にギュッとしがみついてきた。  小さな身体がふるふると震えていて可哀想になる。  束の間の静寂の後、ザーッ!と屋根を叩きつけるような強い雨音がしてきて、ゲリラ豪雨だと察した。  雨音に混じって、ゴロゴロという残響のような雷鳴も聞こえてくる。  視線を転じれば、窓の外は白く煙っていて、数メートル先の隣家のシルエットでさえもぼんやり霞んで見えるほどで。  実際俺もさっきの落雷のせいで、心臓バクバクでめちゃくちゃ驚いてんだけど、それ、音芽に悟られたらダメなやつだよな。 「温和(はるまさ)っ、――和音(かずね)……」  涙目で娘の心配をする音芽(おとめ)が愛しくて、俺はギュッと小さな身体を抱きしめる。  さっきまでヤル気満々だった俺の下腹部も、さすがにすっかり萎えてしまった。
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