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音芽が俺の手を取って、おずおずと指先に舌を絡めるのを見て、そろそろ頃合いだと悟る。
「いい子」
その様をわざと見下ろすように冷ややかに見詰めながら褒めると、音芽が俺の視線に耐えきれないみたいに頬を赤く染めた。
あー、本当、何年経ってもコイツ、可愛すぎんだろ!
しかも、何も知らなかった処女の音芽をこういう風に育て上げたのは他でもない俺なんだ。
そう思うと、音芽の一挙手一投足全てが俺を昂らせる。
わざと音芽の口の奥に指を突き入れて、音芽が苦しそうに眉根を寄せるのを見てから指を引き抜くと、俺はおもむろに彼女の新調したばかりの下着に手を掛けた。
白地に淡い花の刺繍が入ったショーツは、シルク製で手触りが最高に気持ちいい。
俺は綿の手触りより、こういうツルツルした触り心地の生地の方が好きなんだけど、最近音芽が買う下着はみんな俺好みの手触りばかりだと気付かされる。
「なぁ音芽、下着選ぶ時、俺のことを考えてくれてたり?」
スルスルと音芽の太ももからショーツを抜き取っていきながら、音芽をじっと見つめると、彼女は恥ずかしそうにふぃ、と視線をそらすんだ。
「音芽、俺を見てちゃんと答えろよ」
命令口調でそっと誘導し直せば、恐る恐るこちらを見る揺れた瞳が堪らなく加虐心を煽ってくる。
次いで小さくうなずいた音芽に、「ちゃんと口で言わなきゃ」ってさらなる追い討ちをかける。
「……て、る……。いつも、温和のこと……考えてる」
恥ずかしそうにそう言ってきた音芽に、
「ふーん。で、音芽さんは俺にどうされることを考えてこういうのを選んでくれてんの?」
と言いつのったら、「い、いま……みたいに……触、られるの……」とか!
本当最高だろ、音芽っ!
「ありがとう。すげぇ嬉しいよ」
散々いじめたお詫びに、にっこり笑ってそう言うと、俺は頑張った唇にやんわりとご褒美の口づけを落とす。
あー、何で今日は俺たち2人とも仕事なんだろうな?
ゆっくりお前を味わえないのが本気で腹立たしいんだけど!
でも、まぁ――。
「音芽、新しい下着、あと2種類あるよな? 今夜も明日の夜も俺にそれ、見せてくれるだろ?」
END
(2020/09/06-2020/09/07)
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