思い出を辿る

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僕は写真を撮るのがすきだ。 その写真を、今日はアルバムに入れていく。 これは高校の入学式。まだ、顔に幼さが残る。それに、服に着られてる感じがする。 次は野外活動の時。制服で行った遊園地、みんなで食べたご飯、部活の写真、修学旅行、卒業式。たった三年で顔つきが変化した。 大学生、スーツ姿。高校の制服は似合ったけど、スーツはまた着られている感じ。 「あー、これは……彼女のあいつとのデートだ。」 これは2人で行ったイルミネーション、どっちが綺麗かわかんなかった。これは2人で行ったキャンプ、2人で見上げた星空が綺麗だった。 2人で行った紅葉狩り。2年目に突入して行った紅葉狩りは楽しかった。秋色に染まりそうな君が美しかった。 就職決まってスーツで撮った1枚。この後のディナーが格段に良かった。 次は蛍を見に行った。ぼんやり蛍を眺める君が幻想的で夜に攫われそうだった。蛍のためにカメラを変えたんだよ。 それから、花見にも行った。寝てる間に桜の花びらで埋められる君が不思議だった。 次の一枚は、初日の出を見に行った。朝日の輝きが、指輪の銀をオレンジに変えていた。 ドキドキした顔の君も橙色に照らされて胸が高鳴った。 そして最後の一枚は結婚式の時。 君の泣きそうなのにキリッとした顔が良かったんだ。タキシード姿の君が高校の制服の時より大きくなったのに、立派になったのにあどけないのか面影があるのか、何も変わらないようにも見える。 さぁ、君にこのアルバムを渡そう。 あと、君が僕に相談してきたシャッター音や誰かにつけられている恐怖も今日でなくなるよ。もう、大丈夫。ずっとずっと君が大好きだった。でも幸せな結婚を遂げたあとの君には興味が無いんだ。もう大丈夫。高校でまた、いい子を見つけたよ。 僕は、写真を撮るのが大好きなんだ。ありがとう。
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