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あとがき
わたしがこの小説を手に取り、有名な美容コメンテイターの騒動を発端とする(書によると12年前に遡るとのこと)から例の事件までの経緯を知った時、軽く目眩を覚ました。
(単行本にして700ページ超えってだけでも目眩ものですが)
−中略−
なにしろ、毎日といっていいほどテレビで見ていた有名人の起こした事件でしたし、連日のように報道され、驚愕の結末を迎えた事件でしたから。
そんな事件の真相に迫るべく、自ら足を酷使して取材された著者の高中氏には尊敬の念を感じずにはいられませんでした。しかも、脚色は一切無いとご本人がおっしゃられていました。
さて、本書の中で心に刺さる言葉がありました。
主人公のマサキと夕陽を見ていた朝壁の言葉です。
結局さ、雪子さんもそれを取り上げた
一般人もマスコミも、そしてそれらの
やり取りを傍観しながらどちらかの味方を
していたやつらも結局はそれで満足してた
んだろ?発言はしないで、一人で、心の中で
文句を言って。それこそ真のモンスター
じゃねぇか?
これを読んだとき、わたしはハッとしました。モンスター○○と呼ばれる存在。それを見たり聞いたりしても、我関せずで関わりを持たないようにしている(もしくは、してきた)自分が一番のモンスターなんじゃないかと。
つまりこれを読んで、ネット民やマスコミがイヤな奴を暴くとスカッとすている人達です。
−中略−
わたしは漫画家なので、絵で語り、言葉は絵で語れない隙間を埋める存在だと思って書いてきたのですが、本書を読んでからは言葉を大事にしたいと思うようになりました。とは言っても、漫画本を開いて言葉ばかりだと誰も読まないでしょうね。
そうそう、朝壁はこんなことも言っていました。
長くやってる奴ほど偉そうなんだよな。
それは何故かって、日本の企業がまだ
年取った奴が偉くて給料も高いって制度を
取ってるからだろ?
日本語も知らねえ、それこそ語彙力が
底辺なやつでも偉いだぜ?
俺の上司なんて「お願い致します」とか
書くんだぜ?
これを読んだ時、わたしは穴を掘って入りたかった。ブラジルまで届く穴を掘ってね。
「ここに荷物を置かないで下さい」って書くくらい恥ずかしい。
(これは某市のバスに書いてました)
−中略−
わたしは本書の著者の作品は全て読んでいますが、これほど考えさせられたのは、これが一番かもしれません。
確実に本棚のど真ん中に収蔵したいと思います。
−後略−
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