ユア・ソング

３

「うん、鶏肉好きだよ」
「じゃあ、何でも好きなものを」
「うん……」
言われて、メニューに目を通してみたものの。

　こういう時、何を選んだらいいのか分からなくて、また悩みそうになったから、もうここは田山さんに甘えようと思った。

「こういうとき、何頼んだらいいか分からないから、田山さんに任せてもいいですか」
そう言って、メニューを田山さんにそっと渡すと、

「そうですか？　じゃあ……」
と田山さんが選び始めた。
「えーっと。親子丼二つとー。あと焼き鳥適当に……」

　たしか、お酒あんまり飲めなかったですよね？　と聞かれてびっくりした。

　びっくりが顔に出ていたんだろう。
　田山さんが気まずげに視線を泳がせた。