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「食べてくださいよー? 何頼みます?」 メニューをこっちにむけながら、田山さんは慣れた手つきでテーブルに据え付けられていたグラスに水を注いでいる。 そして一つをこちらによこしてくれた。  田山さんが私を伴ってやってきたのは、小さな焼鳥屋さんで。   カウンターと座敷二つという小ぢんまりしたお店で、なんていうか絵面のギャップがすごかった。 「下谷さん嫌いなものないです?」 「あ、うん」  好き嫌いはあまりない方だと思う。 「今更なんですけど、鶏、大丈夫ですか?」 その言葉に苦笑する。 全く相談なく、迷わず一直線にこのお店だったから、私が鶏肉ダメかもしれないっていう可能性に今気づいたんだろうなと思う。 田山さんも多少は緊張しているのかもしれない。
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