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「……知らなかったですけどね? 忘年会のときにもしかしたらそうかな、と。ヤな飲まされ方してましたよね」 「うん、……じつは下戸で」 そう答えたら、えっと驚きの声をあげて。 「部長……危ないなあ! 見張ってないとだめですね。  新入社員とかにされたらかなり危険だし。  あー、でも見張りたくない。視界に入れたくない!」  と壮絶に文句を言い始めた。    その合間で、店員に注文を通して、私に向かって「今日は水で!」と言う。    すごいなあ、と心の奥から思う。    どうやったら身につくんだろう。こうゆうの。  今まで身につけようと思ってなかった。  飲み会自体怖かったし。目立たないように絡まれないようにそれだけに必死だったと思う。 「田山さんはすごいねえ」 「……何言ってるんですか」  呆れたように言って田山さんはグイッと水を飲み干す。  そして、「ああ、喉乾いた!」とグラスに水をつぎ足した。
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