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その後、私とシズカは、互いの両思いにより、付き合う事に。その日のSNSの通知が、互いに鳴り止まなかった。
「おめでとう!」「全然知らなかった!」というメッセージに、私も彼も嬉しくて笑みが止まなかった。
翌日の学校では、私やシズカに対する『尋問』紛いな質問攻めに遭い、放課後私とシズカは、逃げる様に学校から去る。
そして、彼の演奏を間近で聴き、直接感想が言える願いが、とうとう叶った。
シズカが案内してくれたのは、楽器が演奏できるカラオケボックス。そこで私は、彼のギター演奏とデュオする事に。
夢のまた夢が、たった一日で叶ってしまった事もすごく嬉しかったけど、私の歌声を彼がすごく褒めてくれた時は、言葉にならなかった。
そして、学生達の念願である『夏休み』になると、彼と一緒に色々な場所を練り歩く。
図書館で一緒に夏休みの宿題を片付けたり、ライブに行って一緒に盛り上がったり。
学校に居る時のシズカは、とても物静かで落ち着いている様子だったけど、私が隣に居る時だけは、表情豊かになってくれた。
ライブの時は、二人共汗でびっしょりになるほどはしゃいで、映画を見た時は、ラストシーンに二人で号泣してしまう。
だんだんと私以外の人に対しても、距離感が縮まっていったシズカは、文化祭で私と一緒に一曲を披露できるほど、人に慣れていた。
私とシズカのショーを見終わった人達から、称賛の言葉を数え切れないほど貰ってしまった。
今までカラオケなんて恥ずかしくて行けなかった私だったけど、シズカのおかげで、自分自身に自身が持てるように。
そして私達は、高校卒業後、若手の洋楽ミュージシャンとして、世界的にも注目されるようなった。
元々洋楽が好きだった私の趣味が、まさかこんな形で将来に活かせた事に、二十歳を超えた今でも、少し信じられないところがある。
渡り歩く世界の中で、私とシズカの仲は一層深まり、本格的な歌手デビューを果たす大型ライブで、シズカは私にサプライズをしてくれた。
彼の持つ小さな箱を開けると、そこには指輪が。
「自分が此処まで来れたのも、全て貴女のおかげです
あんな気持ち悪い事をする自分なんて、愛想が尽かされてもしょうがない
と、時々思う時もありましたでも貴女は、私と共に歩んでくれた。国内のみ
ならず、世界中の何処へ行っても、貴女が私と共に歩んでくれる幸せ
この幸せを、この一生が枯れるまで、ずっと大切にして、続けていきたいん
です
結婚してください」
と、多勢の声援を浴びながら受けたプロポーズは、まるであの大雨の時に受けた告白と同じく、頭の中を真っ白にさせた。
そしてこの時の為に、彼が書き上げ、作曲した曲のタイトルは
「Pasted/Letters」
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