写真に込めた淡い思いは 現実に姿を現す

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写真に込めた淡い思いは 現実に姿を現す

もうすぐ、華の高校2年を謳歌する予定の私、初夜月 礼(しょやつき れい)は、スタートと同時に思い悩んでいた。 それは、友人関係でもなければ、お小遣いの事でもない。この世に生を受けて早16年の私は、とうとう『恋』に思い悩んでいた。 生まれて初めて知った、この行き場のない不安と葛藤は、私の小さな心を日々締め付けている。 友人に相談したくてもできない、両親に相談したくてもできない。 なるべく平常心を保つようにしていても、『彼』の事になると、どうしても目の前と頭が真っ白になってしまう。 彼の名は、九情 静(くじょう しずか)。1年の時、『音楽室』で彼を見つけてしまい、一目惚れしてしまった。 彼はあまり、クラスでは目立たない方。友人も少ないのか、一人でいることが多い。 本を読んでいるか、予習をしているか、一人クラスから姿を消しているか。 いつの間にか、彼を目で追っていた私、最近首回りが少し痛くなってしまった。 私の友人には、もう彼氏持ちの人は結構いる。時々友人から、「彼氏とか作らないの?」と、スマホにメッセージで送られた事も。 私はそのメッセージを見た途端、指が勝手に動いて、「告白したくてもできないの!!察して!!」と、無意識に打ち込んでいた。 もちろんこのメッセージは取り消して、「脳内審議中」とイラストを入れて、あやふやな回答を返しておいた。 今思うと、あの時ちゃんと友人に相談していれば、こんなに悩む事なんてないんだろう。正直、入学する高校を決める時よりも悩んでいる。 今の高校に合格して、ようやく落ち着いたと思ったら矢先、こんな感情に翻弄されてしまうなんて、思いもよらなかった。 今日も今日で、彼に一言も声をかけられなかった悔しさで、私はベッドの上で暴れ回る。 数分経ってようやく落ち着いた頃、ベッドのシーツはめちゃくちゃになっていて、ベッドの隣にある机も、何故か被害を被っていた。 ベッドを元に戻した私は、改めて本気で悩む。もうすぐ高校2年が始まり、周りは彼氏彼女との悠々自適な毎日を送る。 別に、焦っているわけではない。まだ高校生活は1・2年残っている、チャンスはいくらだってある。 ただ、教室にいる彼氏彼女の様子を見ているだけで、自分と彼を照らし合わせてしまい、自分で自分が気持ち悪いと思ってしまう。 だから私は、自分の心を落ち着かせる為、告白する勇気を持つために、とある物を作った。
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