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「ごめんね。火野くんはいろいろ作ってくれたのに、私の作品が少ないからあんなこと言われちゃったんだよ」
私の言葉を聞いて、火野くんは一瞬考えたあと、
「だけど部長、俺らなめられてますよ」
と言った。
「そうかもね、私、頼りないし」
「そんなことないっすよ。部長は俺に一から編み方を教えてくれたじゃないすか。俺が何を作っても、よしとしてくれたじゃないすか。部長はいい部長っすよ」
「それは、部長として当然だよ」
「そんなことないっすよ。俺昔からこんなんなんで、絵を描いても、工作で物を作っても、私服を見られた時も、いつもからかわれて来ました。物を作るのは好きなんすけど、美術部には入らなかったんです。嫌いなやつが先に入部してたんで」
「そうだったの」
それで手芸部に流れて来たのね。
「部長、部長の作品って、本当にあれだけなんすか?」
部室の方を見ながら火野くんが言った。
「どういうこと?」
「今まで、コースターばっか大量に作ってたじゃないすか。あれで全部じゃないと思うんすけど」
「ああ、それは、座布団カバーにして私が教室で使ったり、ひざ掛けにしておばあちゃんにあげたり、猫の寝床にしたり、リビングに敷いたりしてるから……」
「いやいや、どうしてそれをここに持ってこないんすか! それも展示しましょうよ! てゆうか、いっそ全部繋げちゃいません?」
「え?」
「今言ったそれ、全部繋げたらきっと、バケモノみたいな大きさの大風呂敷になりますよ」
考えたこともなかった。今まで作ったものをすべて繋げたらどうなるかなんて。
「うん、いいね! 私もそれやってみたい!」
「よかったら、俺が作ったコースターも足してください。繋げるの、俺も手伝います」
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