繋げる

2/2
15人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「ごめんね。火野くんはいろいろ作ってくれたのに、私の作品が少ないからあんなこと言われちゃったんだよ」  私の言葉を聞いて、火野くんは一瞬考えたあと、 「だけど部長、俺らなめられてますよ」  と言った。 「そうかもね、私、頼りないし」 「そんなことないっすよ。部長は俺に一から編み方を教えてくれたじゃないすか。俺が何を作っても、よしとしてくれたじゃないすか。部長はいい部長っすよ」  「それは、部長として当然だよ」 「そんなことないっすよ。俺昔からこんなんなんで、絵を描いても、工作で物を作っても、私服を見られた時も、いつもからかわれて来ました。物を作るのは好きなんすけど、美術部には入らなかったんです。嫌いなやつが先に入部してたんで」 「そうだったの」  それで手芸部に流れて来たのね。 「部長、部長の作品って、本当にあれだけなんすか?」  部室の方を見ながら火野くんが言った。 「どういうこと?」 「今まで、コースターばっか大量に作ってたじゃないすか。あれで全部じゃないと思うんすけど」 「ああ、それは、座布団カバーにして私が教室で使ったり、ひざ掛けにしておばあちゃんにあげたり、猫の寝床にしたり、リビングに敷いたりしてるから……」 「いやいや、どうしてそれをここに持ってこないんすか! それも展示しましょうよ! てゆうか、いっそ全部繋げちゃいません?」 「え?」 「今言ったそれ、全部繋げたらきっと、バケモノみたいな大きさの大風呂敷になりますよ」  考えたこともなかった。今まで作ったものをすべて繋げたらどうなるかなんて。 「うん、いいね! 私もそれやってみたい!」 「よかったら、俺が作ったコースターも足してください。繋げるの、俺も手伝います」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!