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「そうじゃなくてね。これは、このままだとコースターだけど、繋げて他のものにもできるんだよ」
「他のもの?」
「このコースターは『モチーフ編み』って言うんだ。繋げて、マフラーにしたり、ブランケットにしたりできるの」
「な!? そんな、『レンガ職人と見せかけて城建てる』みたいなことしてたんすか。なんだかかっこいいっす」
どういうわけか、このモチーフ編み、火野くんの琴線に触れたようだ。
「部長、俺もこのコースター作りたいっす」
「そう? 今の火野くんなら簡単だよ。私が教えたらすぐだよ」
「そうすか、じゃあたくさん作っていざというときに備えます」
「い、いざというときって??」
モチーフ編みって、そんなサバイバルツール的なものだっけ……?火野くんって、どういう世界線で生きてるんだろう……。
「『いざというとき』は、想定できないことを指すんですから、なんなのかはわからないっすよ」
「そ、そう……」
火野くんは、私に習ってモチーフ編みのコースターをせっせと作り出した。
火野くんが作ったモチーフ編みのコースターは、毛糸の色の組み合わせがとても奇抜だった。
火野くんの手にかかれば、四角いモチーフ編みすら毒々しく、バケモノのような生き物に見えてくるから不思議だ。
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