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「……アタシだったら、ありとあらゆる人間から話を訊きまくるかな?」 数十秒の沈思の後、ようやく答えが出たのか福ちゃんは真摯な眼差しでもって私を見つめ返しながら、話し始めた。 「やっぱり、知りたいからさ。 どういう状況で、自分の旦那がそういう行為に及んだのか、っていうのを。 だから、アタシが西原っちなら、すぐ井上サンに訊いてもらうよ。 佳奈って子に、土曜日の事を正直に答えてもらうようLINE送って、って」 「そういえば、前の彼氏が浮気してた時、福ちゃん。 彼氏の男友達に、ひっきりなしに電話とかLINEしてたもんね。 『トモ君、こないだの土日に何してたか教えて』って」 「あっ、してたね。そういえば」 福ちゃんは苦笑すると、その苦笑を保ったまま続けて言った。 「それはともかくさ、西原っちも井上サンに頼んだら? 旦那に直接訊いても、とぼけるだけだと思うし。 大体、アレだよ? 男なんてさ、形勢が不利になってきたら、見苦しい事この上ないんだから。 聞く耳もたない、って感じで大声出してキレるか、バレバレなのにとぼけるか。 この、どっちか二つしかないんだからさ」 「わかる」 的を射た福ちゃんの言葉に私は、先程まで抱いていた苛立ちをすっかりと忘れ、思わず笑ってしまった。
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