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最初に喧嘩をふっかけたのは、私の方だった。 と言っても、最初から直人と喧嘩をする気があった訳ではない。 抑え込んで、忘れようとしていた私の中の「苛立ち」 それが、些細な事がキッカケで瞬時に再燃してしまい、私は必要以上とも言える程、直人に対して激しくあたった。 「そこまで、神経質にならなくていいだろ。 どうせ後で掃除するんだからさ」 最初の内、いつものようにこう言って笑い、私の口撃をやり過ごそうとする直人。 けど、心の奥底に封じ込めていた私の「苛立ち」にその笑みは完全に逆効果であり、逆撫でされたと感じた私はさらに激しく直人を口撃した。 やがて、私の口撃が直人の心の許容量を超えてしまったのか。 直人は蒼白い顔をしたままうつむくと、一言も言葉を発さなくなってしまった。
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