246人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「男なんて、追い込まれたら、大声出してキレるかとぼけるか、のどっちか二つしかないって。
分かったでしょ?
旦那に訊いても、ムダだって」
「……十分分かった」
「井上サンには、連絡したんだよね?
同窓会があった夜、何があったのか佳奈って子に全部訊いてくれ、って」
福ちゃんの言葉に、私はすぐさま頷いた。
「昨日、ネットカフェにいる時にLINE送った。
もう、旦那とは口聞く気ないし、そっちのが正確だもんね」
「そりゃ、そうだよ。
旦那なんか、話訊いてもごまかすだけで得るモノないんだしさ」
福ちゃんは笑った。
その、露程も私の事を迷惑と思っていない福ちゃんの懐の広さに、私は心から感謝した。
ココで昨日の事を、かいつまんで話す。
金曜日の深夜。
つかまえたタクシーで、繁華街へと出た私は、とりあえずネットカフェに入店し、そこで一晩を過ごした。
朝にネットカフェを退店し、ドトールでいわゆる「一人カフェめし」を済ませた後、私はすがる気持ちで福ちゃんに電話を掛けた。
「ゴメン!
迷惑なのは十分承知の上なんだけど、2、3日泊めて!」
ここ数日の状況から、福ちゃんは私の事情を察したらしく、返事の前に笑い声を上げると、快く応じてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!