3/4

246人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「男なんて、追い込まれたら、大声出してキレるかとぼけるか、のどっちか二つしかないって。 分かったでしょ? 旦那に訊いても、ムダだって」 「……十分分かった」 「井上サンには、連絡したんだよね? 同窓会があった夜、何があったのか佳奈って子に全部訊いてくれ、って」 福ちゃんの言葉に、私はすぐさま頷いた。 「昨日、ネットカフェにいる時にLINE送った。 もう、旦那とは口聞く気ないし、そっちのが正確だもんね」 「そりゃ、そうだよ。 旦那なんか、話訊いてもごまかすだけで得るモノないんだしさ」 福ちゃんは笑った。 その、露程(つゆほど)も私の事を迷惑と思っていない福ちゃんの懐の広さに、私は心から感謝した。 ココで昨日の事を、かいつまんで話す。 金曜日の深夜。 つかまえたタクシーで、繁華街へと出た私は、とりあえずネットカフェに入店し、そこで一晩を過ごした。 朝にネットカフェを退店し、ドトールでいわゆる「一人カフェめし」を済ませた後、私はすがる気持ちで福ちゃんに電話を掛けた。 「ゴメン! 迷惑なのは十分承知の上なんだけど、2、3日泊めて!」 ここ数日の状況から、福ちゃんは私の事情を察したらしく、返事の前に笑い声を上げると、快く応じてくれた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

246人が本棚に入れています
本棚に追加