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「あの、アタシ。
前にロッカーで同窓会の話をした時、佳奈が柴田クンに……。
あっ、西原サンの旦那サンに佳奈が熱をあげてた、って言ったじゃないですか」
井上サンは、隣に座っている佳奈に視線をやると、おそるおそる切り出す。
私は「うん」と言って頷き、井上サンの次の句を待った。
「実はそれ、佳奈じゃなくアタシだったんです……」
「えっ?」
井上サンの告白に、私と福ちゃんは眉を寄せた。
「……ごめんなさい」
井上サンは、もう聞き慣れた謝罪の言葉を吐くと、続けて言った。
「高校で佳奈が柴田クンと付き合ってる時から、アタシ。
柴田クンの事が、ずっと気になっていたんです。
だから、同窓会で久しぶりに柴田クン見た時は、アタシ。
もう、完全に舞い上がっちゃったんですね。
結婚してた、っていうのもあるんでしょうけど、柴田クン。
何か、高校時代より落ち着いていて、すごく大人っぽくなってたし……」
私は白けた視線を井上サンに向けながら、カフェラテを一口飲む。
「だから、アタシ。
柴田クンの側から、離れなかったんですよね。
呆れた男子から
『いい加減、柴田を解放してやれよ。
柴田は結婚してるんだからよ』
って、言われてもずっと柴田クンの側を離れませんでしたから。
で、多分ですけど、そんなアタシの気持ちを察したんでしょうね。
二次会に行くか、行かないかって時に、佳奈がアタシに言い寄ってきたんです。
『ジュンちゃん、ひょっとして柴田の事が気になってんの?』って。
もちろん、アタシは頷きました。
すると、佳奈はしばらく考え込んだ後、こう私に言ってきたんです。
『ねぇ、いい考え思いついた』って。
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