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井上サンの告白に私は驚くのと同時に、ここ数日の一連の不可解な出来事が、レゴブロックを組んでいくかのように次々と頭の中で繋がっていった。
確かに、金曜日の直人は帰りが遅かった。
そして、私の詰問に対し、直人はどこか答えにくそうな素振りを見せていた。
が、それも(結果的に佳奈では無かったが)、井上サンと秘密裏に会っていた、というのなら合点がいく。
「……すいません」
井上サンは口籠もるように言うと、涙目で続きを口にする。
「さすがに柴田クンは、露骨に嫌な顔をしました。
『なんだ、この女?』って感じで。
けど、アタシ。
どうしても柴田クンの事を諦めきれなくて、こんな事を言って柴田クンを脅したんです。
『ねぇ、こないだの同窓会。
柴田クン、「カラオケに行く」って奥さんにLINE送ってたけど、実際は私達とスターバックスに行ってたよね?
もちろん別に何もなかったんだけど、アタシがその話を広げて奥さんに言ったら、ちょっとややこしい事になるんじゃない?
柴田クンの奥さん、アタシと同じ会社なんだし。
だからさ、それをネタにゆするって訳じゃないけど、今日ちょっと付き合ってくれない?
アタシ、どうしても柴田クンに話したい事があるの』
柴田クンは察したのか、無言で頷いてアタシに付き合ってくれました。
そして、落ち着いた感じのダイニングバーに入って一息つくと、アタシ。
思い切って、柴田クンに言ったんです。
『お願い。
奥さんと別れて、アタシと付き合って。
柴田クン、こないだの同窓会で奥さんとの関係は『姉と弟みたいな関係』って、言ってたじゃない。
そんな結婚ならやめて、アタシと付き合って。
アタシ、柴田クンの事が高校の時から好きだったの……』って。
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