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自分でも、わかりました。
アタシ、今、間違った事をしている、って。
でもアタシ、柴田クンを目の前にしたら、すっかりと冷静さを無くしてしまったんです。
そんなアタシに、柴田クンは失笑気味に笑うと、いつもの物静かな口調で説くようにこうアタシに言いました。
『悪い、それは受け入れられない。
俺が好きなのは、雪絵だけなんだよ。
確かに、6つも年上だから、夫婦っていうよりもこの前俺が言ってた「姉と弟」の関係に近いけどさ。
けど、俺は雪絵が好きなんだ。
これだけは確実に言える。
あと、雪絵には黙っているけど、俺の今のスマホのロック画面。
雪絵、にしてるんだ。
恥ずかしいから、雪絵を含めて誰にも言ってないし見せてないけどな。
井上サンは、確かに魅力的で綺麗な女の子だよ。
俺ももし独身なら、「いいの?」って心を動かされていたかもしれない。
けど、雪絵にはかなわない。
なぜなら、雪絵は俺の中で降水確率0%の天気予報みたいな、完璧な女なんだからよ……』
アタシ、柴田クンの言葉をとても受け入れる事が出来ませんでした。
だから、脅すなり何なりして無理矢理にでも柴田クンを引き止めて、何度もお願いをしました。
けど、ダメでした。
柴田クン、もう西原サンしか見えていないんです。
アタシ、次の日。
ようやく、その事に気付いたんですけど、西原サンから来たLINEを見て、目の前が真っ暗になって……。
だって、アタシが言った嘘が原因で西原サンが柴田クンと喧嘩して別れる、なんて書いてあったから。
お願いです、西原サン。
柴田クンと、ヨリを戻して下さい。
アタシ、その事が気になってずっと会社にも行けなかったんです。
悪いのはアタシで、柴田クンは何も悪くありません。
だから、西原サン。
お願いですから、柴田クンのトコロに戻って下さい。
もちろん、許してもらえるとは思っていないです。
アタシ、柴田クンを西原サンから無理矢理奪い取ろうとしていたんですから。
けど、今回の事は心から謝ります。
本当にごめんなさい……」
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