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周囲を見回しても、やはり誰にも聞こえた様子はない。
空耳かなぁ?と思いつつ、机の上に置かれたスマートフォンを何気なく覗き込むと、割れた画面に昨日撮った心霊スポットの写真が表示されていた。
廃屋のドアノブに手をかけ、得意げに笑う僕と友人。そして僕たちの間には、まっ黒な顔の見知らぬ誰かが、二人の肩を抱き寄せるように手を回している……。
「あら……? たまに、あるんですよね。データ移行のし忘れ……」
花野さんが新しいスマートフォンの上に、古いスマートフォンの割れた画面をかざす。
「写真のデータ移行……、サービスしておきますね」
画面の割れ目から、緑色で蛍光色のデジタルデータがボタボタとこぼれ落ち、新しいスマートフォンに吸い込まれていった。
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