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プロローグ
「まったく…」
私は嫌味を言うような口調で、辺りを見回し、気配を探りながらため息を付いた。
「ラテーネ王国の兵士たちは、躊躇いってものが無いのかしら?」
川で水浴びを始めた矢先、辺りが殺気で満たされたため、私はご機嫌斜めである。
「居たぞッ!あの川だッ!」
ごつい鎧を着た兵士のうちの一人が私を指差して叫ぶ…多分彼奴がリーダーだろう。
「はぁ…」
呆れた口調でため息を付き、私は水の抵抗を無視して跳躍した。
「ッ!何処行った!」
私の跳躍に眼が追い付かない兵士たちは、私の居る川でオロオロしている。
「ゴバァッ!」
高く跳躍した勢いで、拳に込めた高密度の魔力を川底に思い切り叩きつけ、兵士たちに水を浴びせた。
「ッ!何だぁ?」
急に水をかけられ、慌てふためく兵士たちは、私を見失う。
「今のうちに…」
近くの木にかけていた服を素早く取り、右拳に雷の魔力を込めて濡れた地面に叩きつける。
「ガァァァァァァァァァッ!」
水を浴びていた兵士たちは、次々と感電し、バタバタと倒れた。
「ふぅ…これで少しは時間が稼げるわ…」
素早く服を着て、踵を返した…こういう時軍服の下に鎧を着てなくて良かったとつくづく思う。
「グッ…魔女め…」
私の姿を見た意識ある兵士が私に「魔女」というが気にせずその場をあとにした。
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