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あれから何日経っただろう?ラテーネ王国でクーデターが起こり、追われる身となったのは…?
クーデターを起こした者は、かなり幼い子供だったので正直驚いた。
「あの子は一体…」
性別がどちらか分からないような子で、禍々しいオーラを纏っていた。
「それより…」
今は逃げるのが先である…私が今いる場所は、ラテーネ王国よりも(ラテーネ王国を南と見て)北西に位置する、イリーと言う村が近い。
「ふぅ…」
ため息をついて考えた…この辺りだと馬車が通るはずだが、夕暮れ時でもう通らないかもしれない。
色々なことを考えていると、南の方から馬車がゆっくりとこちらに向かって来る。
「民間の馬車!助かった!」
ゆっくり向かって来る馬車を見て安堵のため息をついた。
馬は二頭繋がれており、馬車を操る男はみすぼらしい格好をしている。
私は近付いてきた馬車に手を振り馬車を止めた。
「どうされました?」
馬車を操る男が私に聞く。
「もし、エルナ村まで向かうなら私を乗せてください!」
「エルナ村周辺には向かいますが?」
「お願いします!」
「フム…見た所、軍人のようですな?」
言われて言葉を詰まらせた…私の服装はラテーネ王国の軍服、将軍クラスの物である。ただし腰に剣は下げない…あくまで私は拳で戦場に出ていた。
「分かりました…乗って下さい!」
「ありがとうございます!」
深々と頭を下げて荷台に乗り、上に羽織っていた軍服を脱ぎ捨てた…軍服の下は平民の服と何ら変わらない。
「あの服、要らないの?」
荷台に乗っていた少女が私に聞く。
「私には…もう必要ないからね」
微笑んで少女の頭を撫でた。
撫でながらでも、心の中では強い思いでいっぱいだった…
「いずれ一泡吹かせてやる!!」
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