エストーラ

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エストーラ

戦いの後、小屋を越えて大きな砦が見えてきた。 「この砦から向こうがエストーラ領よ!」 「でかいなぁ…」 「リエナよ、通れるのか?」 「大丈夫よ」 リエナはふふんと鼻を鳴らし、砦の前に立つ兵士二人の前へ行き、なにやら話し始めた。 「ライア、クロエ!通れるわよ!」 得意気に戻って来たリエナは懐から羊皮紙を取り出した。 「それは?」 「通行証よ…これがあれば、この砦を行き来出来るの」 「そんなもの何処で?」 「秘密!」 彼女が先頭で砦をくぐる…砦からエストーラまでは魔物が出ることはあまり無いらしい。 「ほら見て!」 彼女が指差す方を見ると、真っ白な城壁が見え、真ん中にこれまた真っ白な城が見えた。 「半日歩けばエストーラよ!」 「バカでかいなぁ…」 「えぇ!エストーラの城壁は二重になっていて、内壁と外壁で街が1つずつ有るの!」 「へぇ…」 彼女いわく、内壁の街には政治関連の施設や住居が、外壁には兵士や魔道士…民間人が住んでいるらしい。 「ライア、力の方はどうじゃ?」 「魔法や技を何時でも出せるように意識してはいるけどな…」 「やはり訓練の差かのう…」 時間が立つにつれ昔の記憶は戻って来ている…記憶と力は別物らしい。 「教会とかで魔法の使い方教わるしかないわね」 まぐれとは言え何回も魔法や技を出せているので、このままで良いとは思ったが、リエナに「無理やり力を引き出すと体が持たない」と警告されている。 「それよりも、もし内壁に生まれ変わりが居たとしたら…厄介ね…」 「何でだ?」 「内壁には政治関連の施設や住居が有るのは話したでしょ?」 「あぁ」 「私達の様な旅人、冒険者なんかはそうそう入れない…通行証を取るのに一週間かかるらしいの」 今の所(兵士に追われている以外)急いでいる訳ではないが、そんなに長くは待てない。
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