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「内壁に生まれ変わりが居ないことを祈りましょう…」
彼女はそう言うが、ここに生まれ変わりが居るとは限らない。
「そうだな…」
村を出て二日…生まれ変わりを早く見つけるに越したことはないが、そう簡単にみつかるわけもない…
「!」
リエナが急に身震いした。
「どうした?」
「同時に光と氷の気配が…でも氷の気配は直ぐに消えた…」
「見つけるの早くない?後が怖いんだが…」
「それはそうだけど…でも今は光の…白帝の所へ!」
彼女は俺の手を引いて走りだし、向かっているのが教会だとわかった。
教会の前に来ると、リエナは深呼吸して、扉をゆっくり開けた。
「ギィッ」
扉が軋む音がして、扉が完全に開いた先に祭壇が見え、祭壇の前に白いマントを羽織り、頭に水晶が付いた杖を持った人物が此方に背を向けて立っていた。
「そこにいるのは…ヴォルグとナイア?」
祭壇の前に立って居るのはどうやら女性のようだ…ゆっくりと此方を向くと長い銀髪の髪が靡いた。
「お主は…ファナスか?」
「えぇ…プッ…」
彼女はクロエの姿を見て吹き出した。
「何が可笑しい!」
「何がって…フフッ…猫が…ナイアって…」
「気にしとることをッ!笑うな!」
笑うなと言われても、構うこと無く笑う彼女に、クロエはもう何も言わなくなった。
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