エストーラ

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それから少しして、私はまたバラスを抜いた五竜を集めた。 「やはり、私の気のせいではなかった」 「というと?」 私の横にいるナイアが、聞き返してきた。 「バラスの事だ…とある国に余計な力と知識を与え、国を大きくしている」 「それは…」 「この地域のバランスが大きく崩れる!」 「それはいかんな」 ナイアは、大きなため息を付いて私を見る。 「それに、奴は我々の掟をどうやら破ったようだ」 「まさかッ!?」 急にヴォルグが声を荒げた。 「人と竜の混血を産み出そうとしている」 「それは本当かっ!?」 「えぇ、ヴォルグ…バラスの部下がそれをやろうとしているのを、私の部下が聞いたそうよ?」 「バラスは部下を人化させる気か?」 ナイアは冷静に聞き返す。 「えぇ、じゃないと人と竜は交じあうことが出来ないからね…」 一つのため息の後、私は続けて口を開く。 「人化すると二つのリスクがうまれる…一つは、人化した竜は、二度と竜には戻れない…」 「もう一つは混血児…か?」 ナイアが私の代わりにもう一つのリスクを口にした。 「混血児は、邪悪な者にもなり得る…人間達からすれば脅威の存在となる」 そして国のバランスも大きく崩れてしまう…余計な力と知識を与え、なおかつ混血児となると、もうどうなるか私にもわからない。 私の“脅威の存在”の一言で皆それを察し、沈黙が流れた。 「俺は阻止する!」 急にヴォルグが声を上げた…それにつられ、ブレイズ、ナイア、ドゥームが次々に声を上げた。 しかし、リュートだけは無言のままだった。
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