44人が本棚に入れています
本棚に追加
「って言うのが黒帝と戦うことになった理由よ…」
「言われて思い出した…何で思い出せなかった?」
「貴方は七竜のうち最も酷い死にかたをしたから…」
その時の事を思い出したのだろう、レシェルの顔は青ざめていた。
「そこら辺は覚えてないなぁ…」
「思い出さない方が良いわ…あんなおぞましい…ううん、何でもないわ」
レシェルはこめかみ辺りを片手で揉む仕草をする。
「で…リュートはどうしたの?一緒じゃないの?」
「え?」
「え?って…リュートの気配もしたからここで待ってたのに…」
そんなこと言われても、リュートとはまだ出会って無い…
「氷帝とはまだ出会えて無いんです…気配もすぐに消えてしまいましたし…」
そう言って今までの事をリエナがレシェルに話す…俺の事についても…
「確かに、リエナの言う通りね…無理に力を引き出し過ぎると、身体に負担がかかるわ…」
少し考えて「一か八か…」と呟いた。
「ライア、此方に来なさい」
「はあ…」
言われるまま、レシェルの元へ行く。
「じっとしてて!」
「わかった」
彼女は俺の額に手を当ててブツブツと呪文を唱えた。
「ライア…何があっても力を制御なさい?」
「良くわからんが…わかった」
レシェルが額から手を離した途端、体の中から物凄い力が溢れてきた。
「ぐっ…うぐ…」
無我夢中で力を引き出した時とは違う…身体中の骨が軋む…
「レシェル…まさか…」
「彼の中に眠ってる力を無理やり呼び起こした…本当はやりたくなかったけど、そんなことを言ってる場合じゃないからね…」
「ぐぅっ…」
力の強さに大分慣れて来たものの、暴れ馬みたいに力が体の中で暴れまわる。
「もう…少し…」
時間で言うと五分位だろうか?何とか力を押さえるのに成功した。
最初のコメントを投稿しよう!