382人が本棚に入れています
本棚に追加
/417ページ
「いった!」
河原さんは顔を歪ませて、ガンッと鈍い音が立つくらい強くドアがぶつかった後頭部を触る
「大丈夫ですか?」
「あ、うん……。めちゃくちゃ痛いけど」
涙目で河原さんが後頭部をおさえていると店長が入ってきて、痛がる河原さんに目を細める
「なんだ、居たのか。退いとけよ。邪魔だな」
「つ、冷たい!椎奈はすぐに心配してくれたのに、何すか店長のその冷たさは。それでも店長すか」
心配する気は毛頭無い様子の店長に、河原さんがブーイングする
……痛いかもしれないけれど、元気そうで良かった
私は苦笑いを浮かべて、ロッカーの鍵を閉めた
「うるせえ。店長なんだよ、これでもな。どうせ、誰かの悪口かなんかでも言ってたんだろ。バチが当たったんだよ、バチが」
「えっ、なんで俺が、今日みたく途中で上がるんじゃなくいっそのこと、毎日渡辺が居なきゃいいって言ってたって分かるんすか。こっわ……」
「マジで言ってたのかよ、そんなこと。そりゃ、バチ当たるわな。なんせ、渡辺の念は強いからな」
「近くに居なくても効力ある念って、怖すぎっすわ!怨霊化してんじゃん」
河原さんは、わざとらしく腕を抱いて悪寒を感じる素ぶりをする
「おいおい、それ以上言うとまたバチ当たるぞ?それも、頭にドアぶつける以上のな」
最初のコメントを投稿しよう!