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店長は、私を真っ直ぐに見て立ち上がると、こちらに近づいてくる
距離が近づく共に緊張感も増進して、鼓動が高鳴る
「好きなんだけど、あんな酷え事されてもまだ森川の事が好きっていうお前に無理強いはできねえなって。お前の気持ちは初めから分かってたよ」
「店長……」
私が、店長の気持ちに応えられないと分かっていながらも店長は私の事を好きだと言ってくれていた
そう分かると、胸が息も出来ないほど苦しくなる
「……ごめんなさい」
「謝んなって」
店長は、私の頭を優しく、そっと撫でる
大人で、寛容のある優しくて大きな手に申し訳なさと嬉しさを感じて、涙が滲みかける
「でも、私、本当は自分の気持ちを分かっていたのにずっと返事を先延ばしにして……」
「まあな、森川がいない、つうかあれからもう戻ってこなくて、時間が薬で森川の事吹っ切れたお前と付き合えたら、なんて事も考えたな。でも、やっぱそれもなんか違うんだよな。それで気付いたんだけど、俺、お前に幸せになって欲しいらしい」
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