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目の前の長身の男の顔が歪む。
意識が龍桜を抱えたまま途切れそうになった。
守るんだ。
俺以外の手を触れさせたりしねえ。
龍桜を離すつもりもねえ。
「―――仕方がないですね。」
振り向いた長身の男の後ろから、同じく胸に金バッチを着けたスーツ姿の男たちが並び立った。
「よせっ!」
「構いません。お連れします」
「やめろっ!龍桜に触れるなっ!」
口の端が切れて大声で叫んだ。
腕から龍桜の温もりが引き離されてく。
「仁さん!!やだ。仁さんっ!」
手を伸ばして龍桜が泣きながら俺の名を叫ぶ。
「触んなっ!龍桜っ!!」
指と指が微かに触れた。
ただそれだけの温もりを残しただけで、車の中から龍桜が連れ出されていく。
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