うそつき

2/8
前へ
/8ページ
次へ
 小さいころ、僕は嘘ばかりついていた。  現実と夢の世界の区別がはっきりしていなかった。  絵本の世界では作り話や嘘ばかりだ。だから、嘘をついて何が悪いんだと思っていた。  あるとき、こんなことがあった。 町一番のお金持ちの家に泥棒が入った。  翌日、このことが学校で話題になった。 「きっと神様が、貧しい人のために、お金を配られたんや」  と僕がいった。 「そんなひどい嘘をつくな」 「泥棒に入られた家が、かわいそうやないか」   とまわりの子たちがいう。 「うそつき」  と僕はいわれるようになった。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加