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『なぁ、ヨツバ。何をお願いした!?』
ベランダで夜空に輝く天の川を見上げている沈黙の時間なのに、彼は静けさを跳ね返すような声であたしに話しかける。
『言わないわ。言ったら効力がなくなりそうだもん』
無邪気に尋ねる彼に、あたしは意地悪く笑って答えた。彼がピョンと一度跳ねると、無造作な髪の毛も一緒に揺れた。
それがあたしの中でたまらなく愛おしくて面白くてついつい彼をいじめたくなっちゃう。
『なんだよーっ!
俺は教えてやるのに、ケチだな』
プクゥと河豚みたいに膨らんで、画鋲で刺すとピューッと萎んでいきそう。あたしが、そっぽを向けば必ずあたしの顔を窺うようにして顔を近づける。
この行動に、あたしはすごく弱かった。だからすぐに、笑って折れてしまう。
『先に健一が教えてよ。言ったら教えてあげる』
『本当か!?
俺はな、ヨツバと一緒にいられますように!』
満面の笑みをこちらに向ける。それはすごく眩しく、すごく温かいものだった。あまりにも笑顔が無邪気すぎて、あたしは照れてしまって黙ってしまう。
『…』
『なんで黙るんだよっ』
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