バケモノ

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バケモノ

ワタシは正しく使っているだけなの。 なのに何故こんな場所に入れられなきゃならないのかしら? ねぇ、あなたもそう思うでしょ? そうだわ、そんな所で突っ立ったまま居てもつまらないでしょ。 分かっているのよ、ワタシに興味があるのでしょ? その視線、気付かないワタシじゃないわよ。 そうね、少しお話ししましょうよ。 ワタシも退屈だし、お腹が空いてきたの。 食事の時間はまだ先なのですもの、お話しくらい付き合ってくれても良いでしょ? ほら、ワタシって異性受けが良いでしょ? あら、今、鼻で笑った? 失礼ね、知ってるのよ? あなただってワタシを見て物欲しそうな顔してるじゃない。 そう、皆そうなのよ。 少し仲良くなると距離を縮めて来て言うの。 「君を食べてしまいたい」って。 だからワタシも言うの。 「ワタシも食べてみたいわ」って。 なのに可笑しいのよ。 食べ始めると皆奇声を上げて抵抗するの。 皆、ワタシを『バケモノ』って言うのよ? 変よね。 『美味しそう』だし、『食べてしまいたい』って言うから『食べられる』前に『食べてあげた』だけなのに。 ワタシはちゃんと正しい言葉の使い方をしてるわよね? 間違っていないわ。 なのに、何故こんな狭い部屋に押し込められなきゃならないのかしら。 理不尽だわ。 はぁ.......お腹空いたわ。 ねぇ、あなた、もう少し近くに来ない? ほんの少し、触らせてくれないかしら? ここの食事少ないのよ、足りないわ。 大丈夫よ、ほら、ワタシはこの部屋から出られないのだし、その指先だけでいいの...んふふ...この一本、無くなっても死にはしないでしょ? 〜fin〜
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