肉類

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肉類

 次に広大な畑やバナナその他の果物の映像が映し出される。 「さて、ベトナム戦争時にアメリカで枯葉剤を作ったM社は、現在、遺伝子組み換え作物と農薬を生産しています。当研究所におきましても、同様の研究は行っております。日本の狭い国土、食糧自給率の低さを考え、いかに安くて美味しい食品を国民に提供し続けられるかという食の問題は、日本国民のQOLを向上させる上での最重要課題と言えます。ここで食の安全、安心という言葉の意味について確認させていただきます。日本人の平均寿命が世界でもトップクラスであることは周知の事実です。それは日本の食の安全が守られ日本人の健康寿命が延びた結果と言えます。日本の食品安全基準につきましては農林水産省のHPを見れば非常にわかりやすく解説されていますので、ここでの説明は省略しますが、要するに食品安全基準が適正であったから日本国民の平均寿命が延びたという既成事実を明確に意識していただきたいのです。農薬、防カビ剤、防腐剤の危険性は皆無ではありませんが、それらを適正に使用することで、円滑な経済活動と低価格な食品の流通が確保されているのです。」  次にトリ串やフライドチキン、ハム、ソーセージなど肉の画像が映し出される。 「枯葉剤は奇形を引き起こします。奇形は、社会活動を行う人間にとっては不利な形態かもしれません。しかし、もし鶏もも肉をたくさん手に入れたい場合、一羽の鶏に脚が6本あったら、8本あったら、鶏モモ肉は安く大量に流通できるようになります。牛タンを安くしたければ一頭の牛に頭が二つあり舌が3枚あれば簡単に安くできます。」  足が左右に4本ずつあるカニのような鶏の映像、頭が3つ、それぞれの口に舌が5枚も6枚もある牛の映像、巨大な象のように肥え太った豚の映像などが次々に映し出される。 「大量に埋蔵された枯葉剤は、こうした食糧事情を改善する目的のために有効活用されたのです。すなわち同じ形態の奇形種を安定して生産することが可能になれば、もっとも需要の高い肉の部位が多量に生産できます。平成に入って間もなく研究の成果が実り、目的に合わせた奇形種の安定的生産が始まりました。主に鶏、豚、牛、羊の肉の人気部位を多量に持った奇形種の量産が可能になったため日本人の肉食化は急速に進展し、日本人の体格や体型も短期間で大きく変化を遂げました。」
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