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02.捕険所《ほけんしょ》とアークポリス
「あなた、良いじゃないの。優茉に強いバケモノ買ってあげても」
「わぁい、ママ、大好き!」
妻の魂胆は分かっている。
自分も何か欲しいものがあるんだろう。
あら、いいわね、優茉。素敵なプレゼント貰えて。そういえば私も……とか言い出すんだろう。
「分かったよ。優茉、ペットショップに行こうか?」
「うん、行く!」
「あら、いいわね、優茉。素敵なプレゼント貰えて。そういえば私も、欲しいものがあるのよねぇ」
「ママも買って貰えばぁ?」
「良いわよね、あなた?」
「どうせ、反対しても購入するんだろう?」
「フフフ」
派手な妻が、僕みたいに地味な国家公務員と結婚したのは、不自由のない暮らしと老後を考えてのことだろう。
そんなことは、出逢った当初から分かっている。
そんな僕も、キャリア官僚になれば、金も女も安泰だろうと、国家公務員になった訳だが。
順調に出世街道を走り、同期では逸早く、審議官のポストに就いた。
あと十年足らずで、高級官僚の仲間入りを果たせそうだ。
都内に庭付き一戸建て。
ファミリーカー・セカンドカーの他、ツーシーターのスポーツカーとハーレーのリッターバイクがガレージに並んでいる。
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