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「ねぇ、パパの職場にも、保護されたバケモノがいるんでしょ?」
「捕険所のことかい?」
「うん。学校で習ったんだよ」
捕険所とは、街中をうろついてる捨てバケモノや、山や海から迷い込んだ危険な野生怪物を捕獲・保護・殺処分する施設だ。
「パパは、霞が関で働いてるから、捕険所には滅多に行かないのよ」
僕の代わりに妻が答える。
「そうなんだぁ。そこなら強いバケモノがたくさんいるんでしょ?」
「でも、ペット用とはいえないな」
「テレビで観たもん。そこから引き取る人もいるって」
「いるには、いるけどね……」
僕は妻と顔を見合わせる。
手乗りドラゴンすら満足に飼育できない優茉に、人間不信のバケモノの世話ができる訳ない。
「ほけんしょ、行きたぁい!」
「じゃぁ、今日は新しいバケモノは買えないな。残念、残念」
「いやだぁ! パパのイジワル!」
「優茉、だったらアークで良いわよね?」
「うん! アークでバケモノ買う~」
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