鏡の中の

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これからわたしは「学校」に行く。 いつもの醜い姿じゃとても行けやしないから、博士が姿かたちを変えることのできる薬を開発してくれた。 今は、ザ・女子高生って感じの女の子だ。 体に巻いたタオルをはらりと落とし、わたしは制服に身を包む。 この制服は、薬を飲んだ後バージョンのサイズで作ってある。 今の体型にぴったりだ。 ブレザーで、なかなかカワイイ。 こんなにカワイイ制服を着れるんだもん、博士に感謝しなくっちゃね。 わたしがずっと学校に行きたがっていたから、博士は何年も何年もかけて、この薬を作ってくれた。 わたしみたいなのは、おおっぴらに外を出歩けない。 というか、本来の姿のまま外出したらすぐに捕まってしまう。 そう、わたしは、迫害にあって絶滅しかけている、醜い種族の一員なのだ。 深い森や山奥に隠れて生き、なかには、街なかのゴミ溜めに潜んでいるものたちもいる。
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