-18才-

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恵まれたルックスに、裕福な実家に、理想的な家族、カッコいい彼氏…華音は同世代の女子が欲しいと思うような要素は全て兼ね備えていた。 今まで欲しいと思って手に入らなかったものはない。 敢えて言うなら、成績が中程度、ピアノの腕もそこそこで、どちらも優秀とは言い難い面はあったが、それは単に華音が努力するのが嫌いだから、という結果に過ぎない。 本気を出しさえすれば、それなりのラインまではいくだろうというのは、涼音を見れば想像がつく。 でも、こんなM県の田舎町での評価などなんの価値持たない。 華音は心を引き締めた。 わたしには都会こそが相応しい。 来年には東京の音大に入学して、念願の東京生活をスタートするのだ。 音大に通うからといって、ピアニストになりたいわけではない。 そこまでの才能がないのは最初からわかっているし、華音は努力とか苦労が嫌いだ。 本当の理由は、そういうアクセサリーが欲しいからとでも言えばいいだろうか? 具体的には、音大出のお嬢さんという肩書が欲しいから、という一言に尽きる。
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