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「今夜、みんなで出掛けない?」
先を歩く菫が二人を振り返りながら聞いた。
「私は、無理だな。明日までに仕上げなくちゃいけないレポートがあるし」
芹香が気怠そうに首を振った。
「まだ仕上げてなかったの? 仕方ないなぁ。じゃあ、華音ちゃんは?」
「行きたくないわけじゃないんだけど……ちょっと……ダメかも」
断るのが苦手な華音は言葉を濁した、お財布事情が許さないのだ。
「えーっ、2人とも付き合い悪ーい!」
「ゴメン、ゴメン、ちょっと家の用事を頼まれてて」
ホントのことは言い出せないので、適当に誤魔化すしかない。
経済的な事を言い出せば、「じゃあ、私が奢るわよ」と菫は言うだろうが、それは華音のプライドが許さない。
生活レベルが違うと付き合いも難しいものだ。
「2人とも来ないなんてつまんないなぁ。じゃぁ誰が男子でも誘っていくわ」
菫はサラッと引き下がり、頭の中で候補のカードをシャッフルし始めた様子。
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