-19才-

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わたしの親だって車くらい買えるはずの経済力があったはずだったのに。 そもそも、東京の音大に通っているはずで、地元の音大なんかに居るはずじゃなかったのに。 不満を並べ出せばキリがない。 早く大人になりたい、大人になって華音を縛り付けけているこの地元から飛び立ち自由を満喫したい。 その想いは日に日に強くなるばかりだ。 だからといって、自身が努力したり苦労したりして、現状を打破するなんて華音らしくない。 華音の頭にある人生の成功図は、イケメンで大金持ちの王子様が100本のバラの花束を抱えて足元に跪き、ポケットから大きなダイヤの入った宝石箱を出して、プロポーズしてくれるというおとぎ話のラストのような図だ。 イケメンのお金持ちと結婚して幸せなセレブ生活を送る、それが夢。 絵本の中の王子様に憧れる少女のように、未だに夢見ていた。 大丈夫、きっといつか必ずそうなるんだから。 だって私は可愛いしきれいだし性格もいいし、愛されているもの。 だから幸せになれるの。 その幻想はまだ崩れることなく輝いていた。
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