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「これお土産、それからこっちも。カノちゃんの為に選んだんだから」
夫婦でハワイ旅行から帰ってきたばかりの寛実は大きな紙袋から、次々とお土産を出してくる。
「そんなに沢山、悪いよー」
「だってカノちゃんに似合うと思って」
「うーん、だけど」
寛実が選んできたストールは5万以上はする品で、幼馴染からお土産として気楽に貰える品ではない。
「ヤス君も買ってあげなよ、って言ってたし」
そういいながらグイグイと押し付けれられる。
「でもー」
話しているうちにギャルソンが前菜を持ってきた。
「受け取ってくれないと困るよ。だって、あたしには似合わないし」
「気持ちは嬉しいけど、このストールってお高いでしょ?」
寛実が選んだ品は、華音の好みだし、確かに似合うだろう。
それに華音が受け取らなかった場合に寛実が使うには、華やか過ぎて負けてしまうような柄だ。
――可愛いし、欲しかったストールではあるんだけどなぁ。
今年の新柄でもあるし、欲しい気持ちは山々だが、あの寛実から受け取るというのが引っかかっているだけだ。
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