-21才-

2/12
287人が本棚に入れています
本棚に追加
/591ページ
「これお土産、それからこっちも。カノちゃんの為に選んだんだから」 夫婦でハワイ旅行から帰ってきたばかりの寛実は大きな紙袋から、次々とお土産を出してくる。 「そんなに沢山、悪いよー」 「だってカノちゃんに似合うと思って」 「うーん、だけど」 寛実が選んできたストールは5万以上はする品で、幼馴染からお土産として気楽に貰える品ではない。 「ヤス君も買ってあげなよ、って言ってたし」 そういいながらグイグイと押し付けれられる。 「でもー」 話しているうちにギャルソンが前菜を持ってきた。 「受け取ってくれないと困るよ。だって、あたしには似合わないし」 「気持ちは嬉しいけど、このストールってお高いでしょ?」 寛実が選んだ品は、華音の好みだし、確かに似合うだろう。 それに華音が受け取らなかった場合に寛実が使うには、華やか過ぎて負けてしまうような柄だ。 ――可愛いし、欲しかったストールではあるんだけどなぁ。 今年の新柄でもあるし、欲しい気持ちは山々だが、あの寛実から受け取るというのが引っかかっているだけだ。
/591ページ

最初のコメントを投稿しよう!