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「本年のミス慶果学園は……」
司会役の生徒が勿体をつけるように間を置くとドラムロールが鳴り響いた。
私の名前が呼ばれるに決まっている、華音はそう確信していたが、やはりドキドキするものだ。
「……3年C組の越道 華音さんです!」
興奮した口調につられるように前へと一歩踏み出すと、すかさず司会役の生徒がマイクを差し出す。
「越道さん、おめでとうございます! 受賞されたお気持ちをどうぞ」
華音は口元に手をあてると
「わたしなんかが選んでもらえるなんて、信じられない気持ちです! 投票してくれたみんな本当にありがとう」
そう言い終えると、ペコリと大きく頭を下げた。
「では、投票してくれた方の推薦コメントを紹介させていただきますね。
『見た目が可愛いだけでなく、素直な性格も魅力』
これは3年生の女子からのコメントですね。次は
『美人で、おっとりしてる理想の彼女タイプ。天真爛漫な性格が魅力。守ってあげなくちゃと思える人』
これは3年の男子からのコメントです。どうですか? 投票してくれた人たちの推薦コメントを聞いて」
「そんな風に思ってもらえてるなんて、驚きました」
目を見開きながら小さく頷いた。
内心では評価内容は当然のことだと思っていた。
素直でおっとり、人を疑うことの無い純真さは華音が生来持ってきた気質であったことは確かだが、6才の頃からは確信犯的に演出してきた部分でもある。
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