-18才-

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「本年のミス慶果学園(けいかがくえん)は……」 司会役の生徒が勿体をつけるように間を置くとドラムロールが鳴り響いた。 私の名前が呼ばれるに決まっている、華音はそう確信していたが、やはりドキドキするものだ。 「……3年C組の越道(こしみち) 華音(かのん)さんです!」 興奮した口調につられるように前へと一歩踏み出すと、すかさず司会役の生徒がマイクを差し出す。 「越道さん、おめでとうございます! 受賞されたお気持ちをどうぞ」 華音は口元に手をあてると 「わたしなんかが選んでもらえるなんて、信じられない気持ちです! 投票してくれたみんな本当にありがとう」 そう言い終えると、ペコリと大きく頭を下げた。 「では、投票してくれた方の推薦コメントを紹介させていただきますね。 『見た目が可愛いだけでなく、素直な性格も魅力』 これは3年生の女子からのコメントですね。次は 『美人で、おっとりしてる理想の彼女タイプ。天真爛漫(てんしんらんまん)な性格が魅力。守ってあげなくちゃと思える人』 これは3年の男子からのコメントです。どうですか? 投票してくれた人たちの推薦コメントを聞いて」 「そんな風に思ってもらえてるなんて、驚きました」 目を見開きながら小さく頷いた。 内心では評価内容は当然のことだと思っていた。 素直でおっとり、人を疑うことの無い純真さは華音が生来(せいらい)持ってきた気質であったことは確かだが、6才の頃からは確信犯的に演出してきた部分でもある。
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