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「理由を話せば、別れてくれる?」
「それは、その内容次第だな」
澪の出してくれた紅茶を飲みながら、蒼大は心の準備をしていた。
(澪は、実家からの電話を聞いて豹変したんだ)
だったら、その実家がらみで何か起きたのだろう。
やがて、澪が重い口を開き始めた。
「僕の実家、すごい田舎にあるんだ。市や町じゃなくって、村」
子どもの頃は、虫捕りしたり、川で泳いだりしたよ、と話す澪の口元には、笑みがある。
「おかしいでしょ。トレンド追ってばっかりいる人間が、実は田舎出身だった、なんて」
「そんなこと、ない」
可笑しくなんかないから、ちゃんと最後まで話してくれ、と蒼大は優しく促した。
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