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「その田舎には、古くから伝わる……、贄(にえ)があって……。今度の贄が、僕に決まったらしいんだ」
「贄?」
「今日、実家の軒に白羽の矢が立った、って。贄は十代の子どもだから、僕以外にはありえないんだよ」
ちょっと待て、と蒼大は澪の話しを遮った。
「贄、って何だ。人柱にでもされるのか? この令和の時代に?」
「村の山奥に祠があってね。そこに祀られていらっしゃる、クチナワサマにお供えされるんだ。それが、贄」
蒼大は、青くなった。
まさか、澪はそのクチナワサマに喰われ……!?
そんな澪を、蒼大としては見捨てるわけにはいかなかった。
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