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夕刻、帰り道で蒼大は意識して自分のことについて話していた。
「俺の妹が前いじめにあったことがあってさ。だから、クラスのいじめを放っておけなかったんだ。
「拾ったネコ、元気になってるぜ。今度見に、家へ来いよ」
「親父がリストラされて、腹減らしてた時期があったんだ。だから、おむすび作って渡したのさ」
その一つ一つに、澪はうなずき目を輝かせた。
「やっぱり蒼大って、カッコいいな。人の痛みを解れる人間って、あんまりいないよ」
「そんなに、カッコいいもんじゃないぜ」
「ううん。すっごく素敵だよ」
澪の言葉に、蒼大は照れた。
照れて、つい口を閉ざした。
その一瞬の間に、澪の携帯が鳴った。
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