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02.friends
声が、聞こえてくる。男の声。
これは、知っている声だ。
「ああ、チャーリー。この仕事は朝飯前って言ったはずだぞ。仕方ない。観念して、一旦家族も思い出も全部捨ててくれ。それからビジネスの話をしよう」
目を開けると、友人兼仕事仲間がそこに居た。
そして、俺に向かって細長い手を差し出してきた。
スーツに身を包み、できるサラリーマンの格好で目の前に立っている。そうだった。こいつは前線に出るような奴じゃなかった。
「…ジャック、お前はどっち側の人間なんだよ」
「ごめんごめん。つい、揶揄いたくなって」
そんなお茶目なノリで言われても、困るんだけどな。
「はあ…」
「ははは!しょぼくれるなって!君の裏切りはなかなかに格好良かったぞ。まあでも、これからが大変だな」
その手を掴み、立ち上がる。意外としっかり持ち上げてくれた。
何だ、へなちょこそうな見かけに寄らないんだな。
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