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「あー残念だなあ」
「何が」
勿体ぶるように、彼は手持ちの鞄から地方新聞紙を取り出した。その一面に書かれてある文章を見て、俺は驚いた。
「君はもう既に捕まってるんだよなあ」
紙面に載っていたのは、秘密結社のボスを殺害した犯人という男の顔だった。
「誰だよ、こいつ」
膨らみのある頬に、そばかすだらけの焦げた肌。巻きに巻いた茶色のロン毛に、首元がよれたTシャツ。
そして、極めつけに歪んだ気持ち悪い笑み。左右非対称な為に顔全体が斜めに見える。
本当に誰だこいつ。
「ハッハッハ!面白いだろう?君にそっくりすぎて、逆に気持ち悪いよ!」
「そのジョークを一緒に笑えるほど、俺の気持ちは付いていってないからな」
「はいはい。悪かったよ」
悪びれもなく、彼は続けて言う。
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