01.escape

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01.escape

逃れたいと思う恐怖。 怪我が酷くならないかという心配。 これからどうすればいいのか分からないという混乱。 しかし負の感情だけでなく、何故か希望が微かに湧いてくる。 俺は、迫り来る追っ手を振り切ろうと必死に走っていた。 レンガ造りの家々を抜け、湿った路地へと潜り込む。 ここの土地勘は、無くはないが不安だ。 思わぬ袋小路に突き当たったりしないだろうか。 汗が滴り、その上に酷い大雨が襲う。 水分が足りてない。もう止まりたい。けれども止まれない。 さなかに見えるは、幻想か、否か。
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