告白

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「う~ん、私達は長谷部っ子って言ってたな、なぁ母さん。 とにかくいつも長谷部君の側にいて君がいなくなると泣きながら探し回ってた。 なぁ~長谷部君。」 「ええ、人見知りが激しくてデパートとかレジャー施設でさえ駄目でした。 人混みが怖かったようでした。 それに海水浴や川遊びとかも絶対駄目で水にお入りになれませんでした。 可愛らしいデザインの水着は着られてお出ででしたが... そう言えばお写真は沢山お撮りになりました。」 長谷部は懐かしそうな遠い目をして言った。 「わたしの赤ちゃんの時はどうだったの?」 サララは両親の顔を注視しながら言った。 「わたくしは3歳のサララお嬢様と初めてお目にかかりましたので、赤ん坊の頃のお嬢様にはお会いしておりません。非常に残念でございます。」 長谷部は無念な顔をして言った。 父親は目をそらしてワイングラスを口に運んだ。 「赤ん坊の頃のあなたはもう可愛くって、目に入れても痛くないってほんとそう思ったわ。あの頃は貧乏だったけどあなたが居てくれたお陰で凄く幸せな毎日を送れたわ。」 母親はそう言って父親を見た。 「わたしが赤ん坊の頃の写真ってあんまりないけど、あれっていつ頃の写真なのかなぁ?」 サララは母親に聞いた。 「そうね、多分1歳くらいかな?」 「生まれたてのわたしの写真はないの?」 「たしか撮れなかったと思うわ。 カメラはお店にあったけど売り物にしてたしね。 それにお父さんも私も忙しすぎて...」 「残念だけどしょうがないよね。 一生懸命働いてくれてたんだもん... ああ、お腹いっぱいになっちゃった。 そろそろお開きにする? ...あのね、お父さま、お母さまお話があるんですけど... ちょっとだけお時間いいですか?」 「あぁ~いいぞ、あっちでどうだ?」 父親はリビングを見た。 「ええ、お願いします。 それにサラサと桜ちゃんも一緒に... よかったら、長谷部オジさまもいい?」 「わたくしも宜しいのでしょうか? ご家族だけのお話では?」 「家族でしょ、長谷部オジさま。」 お茶やジュースを運びお手伝いさんは帰ってもらった。 6人がソファに座りテーブルを囲んだ。
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