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母親は血の気が引いた顔で指先が震えていた。
「...お母さんは動揺してるみたいだから、僕が話しよう。
君が22歳だから、24年前になるね。
僕達は結婚して貧乏ながらリサイクルショップを始めたんだ。
今で言うデリバリーサービスなんかもやってたから二人とも忙しくしてたよ。そんな時、お母さんが近くのおばあちゃんの家に自転車で配達に出かけたんだが、途中事故にあったんだ。
お腹を酷くぶつけてね。結局赤ちゃんが産めない身体になっちゃったんだ。
お母さんは泣き暮らして立ち直れないでいた。
だから2人で決めたんだよ。養子縁組しようって。
それから色んな所の施設を紹介されて訪れた所に君がいた。
もう見た瞬間この娘は僕達の子供だって...そして家族になった。」
父親は言った。
「その施設にサラサはいなかったの?
私一人だったの?」
サララはすぐに聞いた。
「君が施設に入れられた事情は明白で、東北でツナミ災害が起こり川を漂っていたところを奇跡的に助けられたけれども、どこの誰なのかも分からないまま施設に預けられた。引き取り手や人探しの尋ね人も現れず身元不明だった。しかし一つだけ君の事をしるした物を身に付けていた。
”サラン 12/2”と書かれたフェイスタオルを身に付けてた。
キミ達が本当に双子姉妹だったら多分同じ所から流されてサラサさんは別の所に漂って違う施設に預けられたんじゃないかな。それこそご両親に聞いてみてはどうだろうか。
しかし本当にこんな事があるなんて...思ってもみなかったよ。
しかも双子だなんて...」
父親は興奮していたが落ち着いた表情で話した。
「サラサさんは確かミヤさんって言ったかしら...
ミヤさんってお呼びしようかしら。」
母親は少し落ち着いた様子で言った。
「いえ、今まで通りサラサでお願いします。
ひょっとしたらサラサが本名かもしれません。」
サラサはニコリと笑みを浮かべた。
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