告白

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「そんなの私が知ってると思うの。 わたしに内緒で連れて来たのよ。 分かるでしょ? 私がどんな気持ちだったか。 だから、聞きもしなかったし関心もないの。」 母親がそう言った瞬間サラサは部屋の奥の鏡が光ったような気がした。 「うん、いいよおかあちゃん... えっ...!ヤダ...。 そうだ...前はそう呼んでた。 おかあちゃん...って。 思い出した! ほら、思い出したよ。 おかあちゃん!」 サラサは嬉しそうに言った。 「何を思い出したかよく分からんが、ミヤを引き取ったのはこの私だし施設だって1年間歩き回ってミヤと出会った。 そして施設から私と母さんとで来るように言われたが、母親は海外出張中と理由付けて多額の寄付をして強引に連れて帰って来た。 ミヤは1歳半だった。 本当に可愛らしくて愛嬌があって泣く事より笑ってる事の方が多かった。 なぁ、かあさん... 最初は口も聞いてくれなかったしミヤの事だって知らん顔してたけど3日後にはミヤを抱いて離さなくなってた。」 「お母ちゃんがわたしの事すごく愛してくれてる事は小さい頃から知ってるし...分かってるの。 お父ちゃん、わたし何で施設に預けられたの? それだけ聞かせてくれない。」 「詳しくは分からんが東北の方で災害があってミヤは奇跡的に助けられて地元の施設で預かろうとしたんだが環境的に難しくなって関東の施設に引き取られて来たそうだ。ミヤの手掛かりは全くなかったそうだがタオルだかハンカチだか身に付けてて消えかかった数字が10か11か12/2とか書いてあったらしく職員が10/2生まれにしたそうだ。 寂しいけれどそれがミヤと初めて会った時の私が聞いた全てだ。 都内の施設だからミヤが行って聞いてみるのもいいと思う。 ただ二十数年前の事だから資料は残っているにしても当時のスタッフが今もいるかどうかは分からない。 しかし何だ、サララ君はさすがに芸能界で活躍してるだけの事はあるね。生き馬の目を抜くって言われてる業界だからね。物怖じしないし自分の意見をちゃんと意志を持って言えるようだ。いい娘に育ったね。君が望むのであればミヤと同じように娘になって欲しい。」 父親は言った。 「すみません、お父さまお母さまチョット興奮してしまいました。」 サララは涙目で頭を下げた。 「おとうちゃん、おかあちゃんありがとう。」 サラサも涙目で両親の手を握った。
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